世界の地下鉄の深さランキング【2025年版】

世界の地下鉄の深さのランキングをお届けします。

近年、都市化の進展に伴い各国の地下鉄路線は増え続け、その構造や特徴も多様化しています。とくに「どれくらい地中深くを走るのか」という点は、都市の地形や人口密度、建設の歴史や技術的事情によって大きく異なります。

本記事では、世界の主な地下鉄の深さランキングを紹介しながら、その背景や東京を含む日本の地下鉄の状況について詳しく掘り下げていきます。

【世界の地下鉄の深さ】ランキング一覧

まずはじめに、世界各都市の地下鉄深度が特に深いとされる路線・駅をピックアップし、ランキング形式で簡単にご紹介します。なお、地下鉄の「深さ」には複数の定義があり、駅ホームの深さを基準にしている場合、トンネル断面の最も深い位置を基準にしている場合、さらには駅入口(地上出口)からの深度を測定している場合など、文献や調査機関によって異なります。

1. アーセナルナ駅(ウクライナ・キーウ)

  • 深度:約105.5メートル
    キーウを走るキーウ地下鉄(Kyiv Metro)のアーセナルナ駅は、世界で最も深い駅として知られています。駅構内に至るまで、エスカレーターが2基または3基連続するほどの長さが必要とされ、その移動時間も数分かかるほど。もともとキーウは起伏の激しい地形を持ち、また旧ソビエト連邦時代の防空施設としての役割も意識されていたことから、地中深くに駅を建設する必要がありました。

2. ピョンヤン地下鉄(北朝鮮)

  • 深度:約100メートル前後
    北朝鮮の首都・平壌を走るピョンヤン地下鉄も深い駅が多いことで知られ、深度が平均で100メートル近くになると言われています。これもまた防空壕としての利用目的が背景にあり、核攻撃を想定した大規模なシェルター機能を併せ持つ作りとなっています。駅構内には扉が厚く設計され、ホームに至る通路もかなり長いのが特徴です。

3. サンクトペテルブルク地下鉄(ロシア)

  • 深度:平均50~70メートル、一部駅は80メートル超
    ロシアのサンクトペテルブルク地下鉄は、ヨーロッパの中でも特に深い駅が多い路線として有名です。地盤が軟弱かつ湿地帯に近い地理的条件、そしてネヴァ川を始めとする大きな河川を横断する必要があったため、トンネルを深い位置に通さざるを得ませんでした。地下水の排水などの技術的課題を克服するために、深い位置での建設が選択されてきた歴史があります。

4. ワシントンD.C.メトロ(アメリカ)

  • 深度:一部駅で約60メートル
    アメリカ合衆国の首都、ワシントンD.C.を走るメトロも、駅によってはかなり深い場所に位置しています。代表的なのがフォギー・ボトム駅(Foggy Bottom)やウッドリー・パーク駅(Woodley Park)などで、エスカレーターを何度も利用してようやくホームへ到達します。都市計画上の制約や、ポトマック川流域の地形の関係もあり、地下深くにトンネルが設計されました。

5. ロンドン地下鉄(イギリス)

  • 深度:最大で約50~60メートルに至る区間あり
    「世界最古の地下鉄」として知られるロンドン地下鉄(The Tube)ですが、実は路線によって深さの差が大きいのが特徴です。ヴィクトリア線やジュビリー線、ノーザン線などの「Deep-level tube」と呼ばれるトンネル区間は比較的深い位置を走行します。近代都市として発展してきたロンドンでは、地表に多くの歴史的建造物や施設が密集しているため、掘削ルートとして地中深くが選ばれたという背景があります。

【世界の地下鉄の深さ】ランキング一覧
【イメージ】キーウ・アーセナルナ駅

【世界の地下鉄の平均的な路線の深さは?

世界の地下鉄全体をひとくくりにして「平均的な路線深さ」を算出することは難しく、正確に示す資料も存在しません。理由としては、各都市の地形や人口密度、建設された時代の技術レベル、経済状況、さらには政治的・軍事的要素などが絡み合い、一律には比較できないからです。

しかし、大まかに目安を示すことは可能です。古くから地下鉄の歴史を持つヨーロッパやアメリカの大都市であっても、地表近くを走る高架形式の区間があったり、比較的浅い位置にホームを設置している駅があります。一方で、近年開発された都市や、地盤が特殊な地域では深い位置にトンネルを掘らざるを得ないケースも少なくありません。

  • 都市部の一般的な深さ
    多くの大都市では、地下鉄駅の平均的な深さはおおむね10~30メートル前後とされることが多いです。とくに歴史ある地下鉄網では、当初は比較的浅い位置に建設されていた区間が多く、増設や延伸の過程で深いトンネルが追加されることがあります。

  • 深度100メートル級は例外的
    先に述べたような、100メートル級の深さを誇る駅は世界でも稀なケースです。これは、政治的な防空壕利用や河川・峡谷の存在、極端な地盤条件など、特別な要因が重なる必要があります。単に「都市が密集しているから」といって簡単に深さ100メートル級になるわけではありません。

【ランキング】東京の地下鉄路線の深さは?世界の地下鉄の深さと比較してみよう

では、日本の首都・東京にも多くの地下鉄路線が走っていますが、果たしてどれくらいの深さなのでしょうか。東京メトロと都営地下鉄を中心に、深度が比較的深い駅や路線をランキング形式で見てみましょう。なお、駅の深さには計測基準に差がありますが、本稿では主に「ホームの深度」で比較してみます。

1. 都営地下鉄大江戸線

  • 最深駅:六本木駅など(約42メートル)
    大江戸線は「環状部」と「放射部」を持ち、都心の地下深くをぐるりと回る路線として知られています。とくに六本木駅は地形の関係でかなり深い位置にホームが設置され、地上からの移動に長いエスカレーターやエレベーターが必要です。大江戸線が深い理由の一つは、既存路線や地下インフラを避けるために、さらに下層の地盤を走らざるを得なかったからです。

2. 東京メトロ副都心線

  • 最深駅:新宿三丁目駅など(約35メートル前後)
    副都心線は比較的新しい路線であり、新宿や渋谷といった都市の中心地を通るため、すでに存在する他の路線や施設との兼ね合いから深い位置に駅が作られました。東京メトロの中でも比較的深度のある区間が多く、新宿三丁目駅、東新宿駅、渋谷駅周辺はかなり地下深くにホームがあります。

3. 東京メトロ半蔵門線

  • 最深駅:大手町駅(約30メートル前後)
    半蔵門線は大手町や九段下などオフィス街・ビジネス街を貫通する路線。大手町には東京駅や他の地下鉄路線が集中しているため、それらを回避する形でホームを深く配置しています。複数路線との交差が多い駅では、どうしても「空いている地下空間」が下層になりがちで、その結果深さが増すことがあります。

4. 東京メトロ銀座線

  • 最深駅:一部区間を除き浅め(約10~20メートル程度)
    銀座線は日本最古の地下鉄路線として有名ですが、浅い位置で建設されている区間が多いです。地形の高低差の影響や建設当時の技術的制約もあり、一部駅では10メートル程度の深さしかありません。戦前に建設された路線ということもあり、「掘削可能な比較的浅い地下空間」を選んだことがうかがえます。

5. その他の路線の概況

  • 丸ノ内線、千代田線、日比谷線、東西線などは、深い区間もあるものの全体的には浅めから中深度。とくに新しい延伸部ほど深くなる傾向がみられます。

  • 南北線は比較的新しい路線で、一部区間は30メートル級の深さに位置する駅もあります(麻布十番駅・六本木一丁目駅など)。

このように、東京の地下鉄は平均すると10~30メートル程度ですが、都心部の新しい路線や駅ではさらに深くなる例があり、大江戸線のように40メートルを超える深度の駅も存在します。

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【世界の地下鉄の深さ】地下鉄が深い理由は?

ここまで世界や東京の深い地下鉄について見てきましたが、そもそもなぜそんなに深くなるのでしょうか。大きく分けて以下のような理由があります。

  1. 地形・地盤条件
    山岳地帯や大きな河川のある都市では、トンネルを通すために自然と深い層まで掘り下げるケースがあります。また、地盤が軟弱な場合や地下水が多い土地では、安定した土質層まで下がる必要があり、その結果として深度が増します。

  2. 既存のインフラを避けるため
    既に複数の地下鉄路線が走っている、地下に上下水道・ガス・電力などのインフラが張り巡らされている都市部では、新しく地下鉄を建設する際にそれらを避ける必要があります。すると、どうしてもより深い層にトンネルを通さざるを得なくなります。

  3. 防空やシェルターとしての利用目的
    旧ソビエト連邦圏や北朝鮮など、地政学的に防空設備としての機能が重視された地域では、地下鉄をそのままシェルター代わりに使えるように非常に深い駅が設計されます。厚い扉や長大なエスカレーターなど、通常の地下鉄とは異なる構造が見られます。

  4. 歴史的建造物・景観保護
    ヨーロッパの歴史都市などでは、地上や浅い地下部分に文化遺産や考古学的遺跡が存在することがあります。それらを破壊したり影響を与えたりしないようにするため、深い層にトンネルを通す場合があります。

深さのメリット・デメリット

深いところを走る地下鉄には、メリットとデメリットが存在します。

メリット

  1. 都市景観・地上利用の効率化
    地上面をできるだけ影響なく利用できるため、公園や商業施設、オフィスビルなどを密集させやすくなります。また、歴史的建造物の保存にも寄与します。

  2. 他のインフラとの干渉を避けやすい
    既存の上下水道、ガス管、電力ケーブル、通信回線などとの衝突リスクを下げ、改修作業や点検の計画をしやすくします。

  3. 騒音や振動の低減
    より深い層を走ることで、地上に与える騒音や振動の影響が軽減されます。住宅密集地などでは重要な要素です。

デメリット

  1. 建設コストの増大
    深く掘削するほど工事は難航し、特殊な掘削技術や補強工事、排水設備などが必要になります。そのぶん費用がかさんでしまいます。

  2. 駅へのアクセス時間が長くなる
    エスカレーターの移動距離や階段の数が増え、地上からホームに至るまでの時間がかかります。乗降客数が多い駅ほど混雑が生じやすいです。

  3. 災害・事故時の避難誘導が難しくなる
    火災や地震など緊急時に、地上までの距離が長いため避難がスムーズに進まないリスクがあります。多層構造の避難経路を設計するなど、安全対策により工夫が求められます。


世界の地下鉄の深さと建設技術

地下鉄を深く建設する際には、一般的には「シールド工法」や「NATM工法」など、トンネル掘削の高度な技術が用いられます。深い地層では地圧が高く、地下水の圧力も大きいため、トンネルが崩壊しないように慎重な設計と施工管理が求められます。

  • シールド工法
    地下トンネル掘削において広く利用される工法で、シールドマシンと呼ばれる円筒形の巨大な掘削機を使います。マシンの先端で土を削り取りながら、その直後にセグメントというコンクリートブロックを組み立ててトンネル壁を形成していきます。地表への影響が少なく、安全性が高い一方、コストがかかり、路線が深くなればなるほど地圧対策が必要になります。

  • NATM工法(New Austrian Tunneling Method)
    トンネルを掘削する際に、地山(じやま:掘削時の周囲の土や岩盤)そのものを出来るだけ活用して安定を図る工法です。周囲に吹き付けコンクリートやロックボルトなどで補強し、地山が崩れないようにしながら掘進を進めます。比較的大断面のトンネルにも対応できる反面、地質調査や施工管理の精密さが求められ、深度によっては難易度が上がります。

深度のあるトンネル建設では、地質調査や排水対策、換気設備など、多岐にわたる技術的課題をクリアしなければなりません。また、地盤沈下や周辺の建物への影響を最小限に抑えるためにも、慎重な工事計画とモニタリングが必要となります。

世界の地下鉄の深さと建設技術
世界の地下鉄の深さと建設技術

深さから見る安全対策

深い地下鉄を建設している都市では、防災・安全対策にも力を入れています。とりわけ100メートル近い深度になると、火災や洪水などの万が一の災害時に地上へ出るまでの距離が長くなるため、避難経路の確保、換気設備や排煙設備の設計が重要となります。

  • 避難用シャフトと非常口
    長いエスカレーターが故障した場合や、停電などで使えなくなった場合に備えて、階段や避難用シャフトが別途用意されています。特に旧ソビエト圏の深い駅には強固な防爆扉が設置され、ホーム全体をシェルター化できる構造が存在します。

  • 耐水扉の設置
    大きな河川の地下を通る場合や、豪雨や洪水が頻発する地域では、水害時にトンネル内へ水が流入することを防ぐ耐水扉を設ける例があります。駅と駅の間ごとにセクションを区切り、万が一浸水した際も被害を局所化できるよう工夫されています。

  • 換気・排煙設備
    地下深くにある駅では、新鮮な空気を送り込み、トンネル内の換気を十分に行うための大型換気装置が欠かせません。火災時にも迅速に煙を排出して乗客の避難を助ける設備が設計段階から検討されます。

世界の地下鉄の深さと建設技術

今後の地下鉄建設と深さのトレンド

世界各都市では今後も地下鉄網の拡張が見込まれており、東京を含む大都市では既存の地下空間がすでに飽和状態に近い状況です。そのため、新規路線や延伸においては、より深い位置にトンネルを建設することが主流になると考えられます。

  • 人口増加と都市密度
    人口が集中する都市部では、地上の土地利用が逼迫しているため、地下空間の活用価値がさらに高まるでしょう。鉄道だけでなく、物流施設や駐車場、地下街など多目的に利用されるケースが増える可能性があります。

  • 技術の進歩によるコスト削減
    シールド工法などの機械化が進み、以前よりは効率よくトンネルを掘削できるようになっています。技術のさらなる進歩によって深度のある路線でも建設コストの抑制が期待されます。

  • 環境への配慮
    CO2排出削減や環境負荷軽減の観点からも、地下鉄はエコフレンドリーな交通手段として評価されます。渋滞緩和に加え、深い地下に路線を通すことで地上の景観を守ることも可能です。


世界の地下鉄の深さを楽しむ方法

少々マニアックな楽しみ方ですが、地下鉄ファンや鉄道愛好家の中には「どの駅がいちばん深いか」を巡って体感する楽しみ方があります。長いエスカレーターを下る際の独特の雰囲気や、深いトンネルならではの空気感は、地表の喧噪から離れた別世界のようです。

  • 深い駅のエスカレーターから眺める
    サンクトペテルブルクやキーウ、ピョンヤンなど、世界には途方もなく長いエスカレーターが名物の駅が存在します。観光で訪れた際には、一度そのスケールを体験してみるのも一興です。

  • 構内アナウンスや建築デザインを観察する
    深い駅では構内の音の響き方も変わります。また、エスカレーターや階段が長い分、壁面や天井に独特のデザインが施されていることも多く、芸術鑑賞の場として楽しむこともできます。

  • 日本国内でも「最深駅」巡り
    東京の大江戸線や副都心線などはアクセスも容易なので、「最深駅」を訪れてエスカレーターの長さを実感してみましょう。都営大江戸線の六本木駅や都庁前駅、副都心線の渋谷駅などは、降りるだけでもちょっとした冒険です。

まとめ

地下鉄の深さには、都市の地形条件や既存インフラを避けるための設計上の理由、あるいは防空施設としての利用目的など、さまざまな背景があります。世界には深度100メートルを超えるような駅もあり、そのスケールの大きさには驚かされます。東京に目を移しても、大江戸線や副都心線など深度40メートルを超えるような駅が存在し、都市の地下には多層的な空間が広がっているのです。

深い地下鉄は建設コストや災害時の避難など課題も多く抱えますが、その一方で土地利用の効率化や騒音振動の抑制といったメリットもあり、今後の都市開発においてはさらに重要性が増していくでしょう。技術の進歩により、より安全・快適に深い地中を走行できる地下鉄が増えていくことが期待されます。

もし海外に出かける機会があれば、その都市の地下鉄がどのように建設され、どれくらいの深さに駅があるのかを調べてみてはいかがでしょうか。日常的に利用している東京や日本の他都市の地下鉄と比較してみると、都市ごとの背景や技術の違いが垣間見えて、新たな発見があるかもしれません。

地上では味わえない深い地下空間特有の空気や、長いエスカレーターが織りなす独特の眺めにも注目してみると、ただの「移動手段」だった地下鉄が、ちょっとした冒険や学びの場に変わります。世界各地の地下鉄の深さランキングを知ったうえで、その奥深い(文字通り)世界に目を向けてみてください。きっと新鮮な驚きと感動が待っていることでしょう。

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